“カリフォルニアン・ブルー”レイク・タホ
サンフランシスコから北東へ200㎞。カリフォルニアとネバダの州境にあるレイク・タホは,東西19㎞,南北35㎞,周囲116㎞の淡水湖。開拓時代から人々の憩いの場として知られ,1960年,湖の北西部のスクオゥ・バレーで冬季オリンピックが開催されるや,その名は世界中に広まった。
冬はスキー,夏はボートやダイビング,春から秋はハイキングやサイクリングと四季折々の楽しみがある全米有数のリゾート。カリフォルニアン・ブルーの空を映した湖面には,無数のボートやヨットが浮かぶ。湖畔の別荘もホテルも街も,湖に比べはるかに小さく風景を損なうものではない。湖を囲む峰に登ると,対岸の雪を抱いた山脈がよく見える。レイク・タホは,乾燥した気候と澄んだ空気が演出するカリフォルニアで最も魅力的な湖である。




Tahoe Rim Trail タホ・リム・トレイル
2001年,タホを囲む峰々を一周するハイキングコース「タホ・リム・トレイル(TRT)」が完成した。
全長264㎞のトレイルには,タホの壮大な眺めを楽しめるダイナミックなパート,小さな湖が点在する自然保護区のパート,ダートの林道や別荘地を通り抜けるパートが混在する。
トレイルの標高は,最も低いタホ・シティが1867m(湖面),最高地点は北部のリレィ・ピークで3101m。ハイカーは,数百メートルの上り下りを何度も繰り返すが,難所と呼ばれるような峠はないし,酸素が薄いと感じる所もない。ただ,稜線に沿って歩くことが多いため水が少ない。
8月になると小川や小さな湖は枯れてしまう。数キロ先には巨大な湖があるのに,何リットルもの水を背負って歩くこともある。
TRTはトレイル・ヘッドと呼ばれるコースの入り口が10個所ある。好きな所から歩き始めることができ,好きな部分だけ歩くこともできる。また,先回りして水や食料を置いておくことも可能である。コース上には,食料を郵送して無料で預かってくれる店もある。
トレイルの整備は地元のTRT協会が行っている。トレイル・ヘッドに右のような案内板があり,要所には上の「TRTマーク」が示してある。
TRT協会は「一味ちがったトレイル」とPRする。確かにカリフォルニアン・ブルーの壮大な湖と稜線を吹くさわやかな風は,他のトレイルでは味わえない“独特の感動”を私たちハイカーに与えてくれる。
Best Season
トレイルに雪がなくなる頃が,TRT歩きのベストシーズンだ。草原の花が一斉に咲き始め,雪を抱いた峰々が輝く。その“春”は,一般に7月の中旬から8月の初め。8月も半ばになると,カリカリに乾いた“秋”が来る。
上の写真は2006年7月31日のツィン・レイク。下の写真は,翌年の8月7日のツィン・レイク。他の小さな池や小川もその頃になると干上がってしまう。
また,あちこちで起こる山火事の煙が景色を台無しにする。
TRTの“春”は,蚊がやたら多い。が,景色のすばらしいこの時期がベストだろう。

Desolation Wilderness
デソレーション・ウィルダネス(Desolation Wilderness)は,タホ南西部にあって,タホ・リム・トレイル(TRT)唯一の自然保護区。展示写真のスシエ・レイクやディックス・レイクをはじめ,レイク・アロファ,ヘザー・レイク,ハーフ・ムーン・レイクなど壮麗な湖が点在する。


